05年6月 「 雨」、「雫」、「紫陽花」

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アジサイ 他  :そほと 06/03


   アジサイ

アン・ドゥウ・トロワ
いつ・むう・なな・や
気まぐれ風が吹くのだわ
アン・ドゥウ・トロワ
いつ・むう・なな・や
四抜きで居た日も有ったけど
濡れてキレイな花だもの
枯れる定めのその日まで
背すじ伸ばして咲くのだわ



   雨は水玉

雨は水玉
雲と地面までを生きる

雨は水玉
雲と傘までを生きる

泣く
笑う
怒る
呆ける

引力と空気抵抗と表面張力
球体はさまざまに表情を変え

泣く
笑う
怒る
呆ける

雨は水玉
雲と手のひらまでを生きる



   月が傘をかぶると雨が降る

生温かい秋の夜空に
ふやけた月
蒼い顔をしている

まつげを伏せた瓦屋根の下で
てるてる坊主
重すぎる祈りに
首を吊っている

電話の声に問いただせば
第一子を流産したとか

月が傘をかぶると雨が降る

何もしてやれない
何もしてやれないのだから
せめて泣き止むまで
この膝小僧を
抱きしめてやらねば
なるまい



   雨後

夜の祭りは悉く
水溜りの中に履物の底を見せて通り過ぎる
テキヤの声も
水飴の様な唾液を伴う男女の声も
全て向こう側だ
両親にぶら下がって越えて行く子供が
此方を見た
私が見えたか
見えたかもしれない
なぜならば
私は胎児の様に縮こまって居るしか出来ないからだ
祭りの花火は大き過ぎて
大き過ぎて全ては見えない
美しいのだろうな
どれ
も少し水溜りを広げてみるか


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乾期   雨の集め方   :楓 06/27

     乾期

 それだけじゃ何も終わらないことは 分かり切っていて
 白い指が残した輪郭は 風景に溶け込んでいて
 今ではもう 境目がみえないくらい

 食い込んだ爪を 引き抜く勇気もなくて
 成す手段もなくて ただ雨を待っている

 静かな雫が 夢を流してくれますように
 ただ雨を待っている



     雨の集め方

 風を切って加速する音
 今夜の雨は誰の涙?

 私が捜す言葉は 底に穴が開いている
 目的を果たす為の上手な台詞
 嘘を持たない筈なのに 返事に迷うのは可笑しいわ!

 涙を集めたいのなら 貴方も涙を流すべき
 乾いた街に降る雨は すぐに流れて消えてしまうわ
 甘い言葉は得意なの
 穴の開いてない言葉を頂戴
 凄く単純で不器用なくせに 貴方はいつも身一つだわ


 風を切って飛び跳ねる音
 傘は役に立たないわ 手を伸ばすのよ もっと高く!

 掌に残る一粒は きっと貴方の涙だわ
 包んであげる 広く 強く




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